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「氷柱の花嫁」

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青いバラにもうひとつの意味があったなんてあの時のあなたは知らなかったのでしょうね」


 

わたしは青いバラが好きで、ずっと青いバラの絵を描きたいと思っていました。
また、その気持ちが強かったのがちょうど6月だったので、ジューンブライドということで花嫁を描いてみようという気になって、この絵が生まれました。

 

ちなみに読みは「ひょうちゅうのはなよめ」だったりします。「つらら」じゃないです。


色を塗るときには、花嫁さんがベールをかぶっているので、ベールに覆われた部分は覆われていない部分よりも色を薄くすることを意識していました。

これはバラの葉っぱを塗る上でも気をつけていて、花嫁を閉じ込めている氷(氷に見えないと思いますが)の向こう側にある葉っぱは薄めに塗っています。


個人的に難しかったのはウエディングドレスです。ドレスのデザインと色塗りで悩みました。
デザインの方は、単調なドレスに見えないようにと考えた結果、フリルやリボンを付けました。
色塗りの方は、白いドレスを描くつもりだったので、影などを入れすぎて違うの色のドレスに見えないように気をつけて塗っていました。


毛先は今回もグラデーション。
グラデーションにすれば大体の絵は綺麗に見えるので、わたしはすぐグラデーションに頼ってしまいます。


また、最初に書いた通り、この絵はバラを描きたいと思って描いた絵なのでバラにはかなり力を入れた覚えがあります。

といっても、バラは描き方さえ覚えてしまえばサクサク描けます。
個人的には花びらの少ない花の方が難しいです。アサガオとかチューリップとか。

花びらの少ない花は、ひとつひとつの花びらの形をそれらしく描かないと、リアルに見えないからです。
バラは花びらの数が多いので、数枚変な形の花びらがあっても、よほど変でない限りそれらしく見えます。

線の多い下書きは上手く見えるのに1本の線にすると下手に見える現象と同じだと思います。線の数(=花びらの数)が多い方が絵の密度が高くなり、上手く見える、ということです。


また、バラが枯れ始めている(理由は後述します)ことを表すために絵の下の方に黄土色を入れていますが、バラが汚く見えないように注意して色を塗っていました。

今見ると、黄土色を入れなかったら、ただでさえ単調な絵がさらに単調になっていたと思うので、黄土色を入れて正解だったなあと思います。やはりグラデーションは強い。

 

 

一番大きな反省点は、この花嫁さんは氷に閉じ込められているという設定なのですが、当時は未熟すぎて、氷を上手く描くことができなかった点です。先に白いドレスの色塗りで悩んだと書きましたが、透明なものはもっと難しい。
今のわたしでも、描けるかと言われたら首をひねると思います。

 

 


さて、青いバラというのは、かつて作ることは出来ないといわれていました。

そもそも、バラには青の色素がないからです。

 

長年の研究の結果、遺伝子組み換え技術により青いバラが誕生しましたが、それでも青というよりは薄紫に近く、真っ青なバラは現在でも着色することでしか目にすることは出来ません。

そんなロマンあふれる青いバラが、わたしは好きです。

 



この絵には設定、というよりストーリーがあります。

 

絵の女性と結婚を約束した相手が、彼女に青いバラを贈った。青いバラ花言葉は「奇跡」。二人の出会いは奇跡、という意味を込めて贈られたものだった。

そんなある日、相手は仕事で海外に行くことになったが、事故に巻き込まれて帰らぬ人となった。

けれど彼女はそれを知らずにいつまでも待ち続けている。二度と帰ってこないだろうという不安を抱きながらも、帰ってくる可能性を信じて、いつまでも、いつまでも。

彼女は相手との子供をおなかに宿していているので、待ち続けるのをやめて死んでしまいたいと思っても、死を選べない。

彼女が死んでしまえば、相手の血を引いており、相手との目に見えた形でのつながりである子供という存在も、いずれ死んでしまうから。

彼女は待ち続ける痛みに耐えるために心を閉じ込めた。それが形となり、彼女自身が氷の柱に閉じ込められた。

けれど、それはコールドスリープではない。彼女は氷の中でもずっと思いを巡らせている。

青いバラには、「不可能」という意味もあるのだ、二人が永遠に共にいることは不可能なのだ、と。

それでも、彼女は待ち続ける。

 

 

 

絵に描かれているかごは揺りかごです。子供がいるという設定を考えた際に加えたモチーフなのですが、こんなの自分しかわからないですね。

中に入っているのは写真です。描き込んでないですが、この女性と相手の幸せな時間を切り取った瞬間が写し出されているという設定です。

 

 

バラが枯れ始めているのは、6月という設定だからです。一般的に、バラは5~6月が見頃とされているのですが、6月は少し花の盛りを過ぎ、徐々に枯れてくるので、あまり見頃ではないと個人的には思っています。

 

 

また、だんだん暑くなってくる時期なので、氷も溶けてきます。氷が解けたら、彼女は現実をその肌で感じ取らなければならない。そんな設定もあります。

 

精神によって生み出された氷が気温で溶けるのか?とか考えてはだめです。すべてはわたしの頭の中で作られているので絵の世界の論理はわたしが決めることです。なんか神っぽい。

 

 

待ち続ける花嫁というのは、天野月子さんの「ウタカタ」という曲にインスピレーションを受けた部分もあると思います。

 

 

 

下描きはこちら。

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完成系とほぼ変わらないです。

 

 

この絵はとても気に入っており、設定も細かく決まっているので、いずれリメイクしたいです。次に彼女を閉じ込めるなら、今度はクリスタルに閉じ込めます。

 

 

 

待ち続ける人って愚直だなあと思います。でも、そんなところに愛おしさを感じます。